ライトアップされた桜と五重塔

京都の玄関口で「お出迎え」と「お見送り」、世界文化遺産・国宝『東寺』

桜と五重塔

旅の最初のインパクトをとるか、旅の最後の余韻をとるか、その好みは人によって分かれるでしょう。京都に来たことを実感し、京都を離れることを名残おしく思うのが、古都・京都の玄関口にある「東寺」です。特に、春の一夜はひときわうつくしい。

ライトアップされた新緑と桜

東寺は正しくは教王護国寺と言い、平安京への遷都が行われた2年後の延暦15年(796年)に、都を守護する為に羅城門をはさんで東西に建設された寺の一つです。

真言密教を広めていた弘法大使・空海が、弘仁14年(823)に嵯峨天皇から東寺を賜り、寺名を「教王護国寺」として真言密教の根本道場とし、今に至っています。東寺は密教美術の宝庫といわれ多くの国宝、重要文化財を所蔵しています。建物では、金堂、五重塔、大師堂、蓮華門(れんげもん)が国宝に指定され、平成6年(1994)に世界文化遺産に登録されました。

柳と五重塔

東北盛岡生まれの圧巻の「不二桜」

ライトアップされた不二桜

東寺にある不二桜は、もともと岩手県盛岡市で育てられた桜になります。平成18年にこの東寺に寄贈されました。意外と近年に移植された桜であるため、桜の穴場スポットとして紹介される理由になっているとも言えます。

樹齢120年をこえる木で、平成18年(2006年) に、弘法大師の帰朝1200年を記念して、ここ東寺に移植されました。弘法大師の「不二の教え」(「仏」と「人」、「光」と「影」、「生」と「死」など、それらは別々のものではなく、一つの両面である、との仏教の教え)から、「不二桜」と命名されています。国宝・五重塔を背に咲き誇る姿は、京都らしい春を感じさせてくれます。

闇に浮かぶ桜と五重塔

ブルーアワーに浮き上がる五重塔と不二桜

桜の下から見上げる五重塔

春期特別公開では、東北盛岡生まれの不二桜に、東北への祈りを込めた夜桜ライトアップ(2019年3月16日〜4月14日)が行われます。闇夜に浮かび上がる五重塔と幻想的に揺らめく枝垂れ桜は、この時期に鹿見られない特別な風景です。

巨大なシダレザクラを前に、五重塔が脇役の様に感じてしまうのではないかと思う方もいますが、そこはさすがの東寺のシンボル。高さ約55メートル、現存する木造の塔としては国内最高の高さを誇り、不二桜に負けないほどの迫力と気品が漂います。

桜と五重塔と新緑

東寺の桜ライトアップの人気は年々増すばかりです。日の入り後の空が濃い青色に染まる美しいブルーアワーの時間帯がおすすめです。ライトアップ時の入り口である大宮通沿いの東側の門を目指し、ライトアップの開始30分前には並ぶようにしましょう。あるいは入場待ちが落ち着く20時前後に来場すれば、比較的ゆったりと見ることができます。

東寺の五重塔は落雷などで過去4度にもわたり消失していますが、そのたびに多くの先人が奔走し、再建されてきました。現在のものは寛永21年(1644年)に再建された5代目で、創建当時とほぼ同じ位置に建っているそうです。

初層の内部には四天柱に曼陀羅諸尊が描かれ、その中心には大日如来が安置されています。京都の町の様々なところから見ることができますが、足元間近で見上げるとこれぞ世界遺産!と唸ってしまうでしょう。

ライトアップされた桜と五重塔と新緑

桜に包まれる講堂と金堂

東寺の金堂

東寺・金堂は、外見上は2階建てのように見えますが、一重裳階(もこし=軒下にあるひさし的なもの)付き、つまり屋根のように見える部分は裳階というわけです。建築様式は和様と大仏様(天竺様)の併用となっています。屋根の中央の切り上げは、東大寺大仏殿や平等院鳳凰堂にも見られるスタイルです。内部には薬師如来を中心に日光・月光菩薩、十二神将像といった仏像が安置されています。

ライトアップされた東寺の金堂

金堂の北部には重要文化財の指定を受ける講堂があり、朱色の柱が特徴的です。内部には大日如来を中心に合計21尊の仏像を安置し、立体曼荼羅と呼ばれる密教の世界が表現されています。

桜に包まれた東寺の金堂

瓢箪池に映る桜と五重塔の幻想模様

池に映る桜と五重塔

講堂と金堂の東側には、瓢箪池を中心とした池泉回遊式庭園が広がっているのも、東寺の大きな魅力の一つでしょう。五重塔と桜が、池に反射する光景が幻想的な空間を作り出します。

池に映る桜と五重塔

通称東寺庭園ともよばれる池のあるこのお庭は品種が多く、3月中旬の河津桜からはじまり、ソメイヨシノ、枝垂れ桜、八重桜と長くお花見ができます。また、桜だけではなく、その後はツツジや牡丹、花菖蒲など、次々と花のリレーが続き、訪れる度に新たな景色を見つけることができるでしょう。

東寺の瓢箪池と五重塔
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