青空に又兵衛桜

北向地蔵桜」のよう郷愁に満ちた風景

北向地蔵と桜

先人たちが愛した宇陀の自然は、春に一層の輝きを放ちます。やわらかな温かな日差しを受け、2018年の宇陀の桜は通年より早い4月初旬に一斉に花開き、美桜の競演を楽しむことができました。宇陀の桜は一本一本にストーリーがあり、歴史や人に関わる背景に思いを馳せることにより、一層味わい深い桜巡りとなります。

駐車場から歩くと、まず目にするのが北向地蔵桜です。桜の木の根元にある祠には北向地蔵尊が安置されていることから、北向地蔵桜と呼ばれているそうです。古木の風情がありお地蔵さんの祠に寄り添うように立つ姿が、 まるで映画のセットのような雰囲気を醸し出している樹齢不明の古木です。この懐かしい景色が、見る者の心に郷愁の念を思い起こさせるのです。

うねる桜の枝

真昼に咲く大輪の花火、大迫力の『又兵衛桜』

横から陽があたる又兵衛桜

北向地蔵桜から暫く歩くと、樹齢300年とも言われる通称「瀧桜」と呼ばれる見事な枝垂れ桜が見えました。NHK大河ドラマ「真田丸」にもでてきた大阪の夏の陣で活躍した戦国武将・後藤又兵衛の屋敷跡にあることから「又兵衛桜」の名でも親しまれています。

桃の花の鮮やかなピンクと山の新緑をバックに存在感抜群の又兵衛桜が見えた瞬間、自然と歩みが早くなります。周辺には、桃・木蓮・馬酔木(アセビ)・水仙・菜の花が同時に咲き誇り、主役を引き立てます。石垣から滝のようにしだれる姿は圧巻で、枝ぶりも素晴らしく、夏の夜空を彩る大きな花火のようでもあり、心奪われ立ち尽くしてしまいます。

山を背にした桃の花と桜の花

古武士の風格漂う又兵衛桜は、幹回り3m、高さ13mで大きく枝を拡げた美しい桜です。「槍の又兵衛」の異名を持ち、大阪夏の陣で討ち死にしたのではないか、一方で実はひそかに、この地で、僧侶となって生き続けたなど数々の逸話を持ちます。

歴史の大きなうねりの中からこぼれ出て、再起を夢見て暮らした場所と言われています。又兵衛の魂が乗り移っているかのような、迫力のある一本桜です。この老木の伝説が、訪れる人の心を捉えて離しません。たった一本の桜が、テレビドラマのオープニングで使われたことで有名になったこともあり、全国から約8万人の見物者を集めているといいます。

城壁に垂れ下がる桜の枝
満開に咲く桜の木と桃の木

石垣から飛び出したように垂れる枝は、樹齢300年とは思えないほどの力強さです。周りには小道が整備され、太い幹をぐるりと見て回る事が出来ます。そしてもう一つの見どころは「風になびく枝」です。その風になびく枝が、まるで風と共に何かを語っているようにも見えるのです。

風になびく桜の枝
段々の花畑と桜の花

川の反対側には散策道があり、こちらから望む「又兵衛桜」は緑の山をバックに堂々とした佇まいです。又兵衛の夢は夏の陣で散りましたが、人々は今にも動きそうな大迫力の滝桜に豪傑又兵衛を反映します。

巨桜の木と見上げる人
西日があたる又兵衛桜

芳野(ほうの)川沿いの桜並木の散策

川沿いに連なる桜並木

又兵衛桜から車で10分ほどのところの芳野(ほうの)川沿いには、500mにわたり、約100本の桜が植えられ、美しい桜の並木道となっています。桜のトンネルを堪能しに、寄り道してみてはいかがでしょうか。宇陀の桜の世界に、存分に魅了されます。

青空と桜並木
おすすめの記事