ライトアップされた桜と松本城

桜咲く女鳥羽川にたなびく鯉のぼり

今年も、桜咲く女鳥羽川川(めとばがわ)で鯉たちが悠々と泳ぎ始めました。市内を貫く女鳥羽川にかかる千歳橋(せんさいはし)付近です。女鳥羽川は、松本市の東方の山から発して、松本市内中心部を流れ下って梓川と合流する川で、清冽な水がいつも水量豊かに流れています。

この川の両岸には古い街並みや、博物館、老舗蕎麦店などが並び、散策するだけでも楽しい、魅力ある一画となっています。鯉のぼりの背景は、大きな振り子時計が目印の建物は時計博物館です。館内には貴重な和洋の古時計が展示されています

漆黒の松本城を桜色に染める春

城は国宝にも指定されており、まさに市民の誇りでもあります。

松本城の始まりは、戦国時代初期の永正年間(1504~1520年)に造られた深志(ふかし)城です。その後、戦国の動乱を経て、名を松本城と改めました。松本城の特徴のひとつは、外壁に黒漆(くろうるし)を塗った「漆黒(しっこく)の城」であることです。これは、石川数正・康長親子によるもので、豊臣秀吉の大阪城が黒で統一されていたことから、秀吉への忠誠のしるしと言われています。それに対し、姫路城のように「白亜の城」は徳川家康の時代の城とされるそうです。

国内外を問わず、松本城の美しさや荘厳さは見るものを魅了します。華美な装飾がなく無骨な雰囲気なのは、戦国末期の動乱の世に築城されたからです。冬場になると雪をかぶった白いアルプスを背景に黒い城がよく映え、まるで水墨画のような情緒あふれる光景を演出します。

春は、残雪に輝く北アルプスの山並みを背景に、日本最古の五重六階の天守からなる国宝松本城のシルエットが映えます。松本城の桜の見ごろは例年4月上旬から中旬です。松本城の外堀の桜が満開に咲きほこり、光り輝く春の到来を信州に告げます。

桜の花のあいだから時おり顔をのぞかせる松本城は、厳しい冬のあとにようやく訪れた春の到来を喜んでいる様にも見えます。

開花が始まるとソメイヨシノや八重桜、しだれ桜など約300本もの桜が一気に花開きます。漆黒の天守と華やかな桜の美しいコントラストに目を奪われます。

威厳ある姿の松本城を、幻想的にいろどる数々の桜。春に松本を訪れるのであれば、国宝に咲く誇り高き桜の美しさにぜひ酔いしれてみてください。

夜の松本城、輝く桜色に包まれる「光の回廊」

春の陽光が北アルプスの峰に隠れるころ、松本城の外堀の桜並木がライトアップされ、漆黒の松本城を包みます。昼間、青空に浮かぶ桜も綺麗ですが、夜空の中でスポットライトを浴びた桜も幻想的な美しさを放ちます。

松本城の黒門は、昼間見るよりも、歴代ご城主の家紋入りの行燈に灯りがともり、その重厚でどっしりとした存在感は増しています。

松本城の要の門に、まさに相応しい。黒塗りの壁と石垣、直線の男性的な力強さが、水面に映りこんでいました。

雲が消え、空が藍色に変わり松本城が、白い輝きを放ち始めました。闇夜に、松本城や赤い橋を背景に、白鳥が優雅にお濠を泳いでいます。

ライトアップされる桜のなかでも、特に迫力があるのが、城を囲む「光の回廊」です。お濠沿いに咲くソメイヨシノが光で照らされ、夜桜がつくり出すはかなくも幻想的な世界を心ゆくまで楽しめます。

光に照らされた桜の一枝一枝がお堀の水面に映り、幽玄な光の世界が広がり、その光は女鳥羽川の桜並木へと続きます。なんという可憐で、静かで品のある美しさでしょう。ゆらゆらとお堀の水は風にゆれ、それと共に映りこんだ桜の姿や松本城もゆれています。

風が吹き始め、桜の花びらが舞い花吹雪が水面に絵を描きます。花びらが流され、お濠の一部はピンク色の絨毯のようにライトに照らされ浮かび上がります。花筏です。

もうすぐ、松本は新緑に包まれ、松本城は異なる表情を見せるでしょう。季節により、その漆黒の松本城は、その姿を変えるのです。

松本城 公式ホームページ:https://www.matsumoto-castle.jp/

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