ひまわりの黄色に染まる町「大空町」
北海道東部、オホーツクの玄関口、女満別空港のある大空町は美しい丘に抱かれた街です。東藻琴公園の芝桜など春から秋にかけての花の名所も多いですが、7月下旬からひまわりの開花の便りが届きます。
女満別空港周辺に咲くヒマワリ畑は、7月下旬から満開となり、空からオホーツク地方を訪れる観光客を出迎えます。滑走路に隣接する畑の作付け面積は200アールほどで、見頃は7月下旬から8月の中旬にかけてです。このひまわり畑は、大空町のひまわりの中では最も早い時期に開花します。背丈が1メートルほどの小ぶりな品種で、緑肥用として栽培されています。ぎっしり並ぶ黄色の大輪が一斉に空を見上げ、着陸する飛行機の窓から眺める観光客を歓迎します。
飛行機とひまわり畑のすてきなコラボレーション
空港近くにあるリサイクルセンターから空港方面を眺めると、タイミングがあえば、飛行機がひまわり畑の中を勇壮に着陸していく様子が見られます。全国でも、ひまわり畑と飛行機を、一画面で見ることができる有数のスポットだと思われます。遠くから轟音が響き、点のような小さな機体が少しずつ大きくなり、まるでひまわり畑に到着するようなシーンは、現実ではなく夢の世界のような光景です。
大空町では小麦の刈り入れが終わった後、畑の肥料としてひまわりの作付けが行われます。夏の収穫の後にひまわりの種まきが始まり、開花はとても遅く、花の見頃は例年9月後半から10月中頃までとなります。町内で合わせるとおよそ10ヘクタールもの耕作地がひまわり畑となり、その総数はおよそ200万本にもなります。この時期になると本州で見られる背の高いひまわりとは違い、背丈1mほどの高さの花が町中いたるところで見られるため、大空町では7月末~10月中頃まで長く青い大空に映えるひまわりを鑑賞することができます。
黒澤明監督「夢」の舞台「感動の径」
ひまわり畑と飛行機のすばらしい風景を堪能した後、「メルヘンの丘」に向かいます。ジャガイモや小麦などの田園が広がり、高い空を感じることができるメルヘンの丘は、訪れた写真家たちの「メルヘンチックな丘」という言葉から自然と名づけられました。小高い丘に立つ7本のカラマツが目印で、季節とともに変化する丘の色はまさに絵になる風景です。春に緑、夏にはジャガイモの花が咲いて白やピンクになり、秋には小麦の黄金色、冬には雪景色の白といろんな姿を見せてくれます。
「メルヘンの丘」から、北海道らしい広大な丘陵地帯のなかを網走へと向かう人気のルート「感動の径(みち)」を走ります。故黒澤明監督の目に留まり、朝日地区の麦畑とともに映画「夢」のロケ地にもなりました。ゴッホの絵画「カラスのいる麦畑」で描いたフランスのオーヴェール地方に似ていて「ゴッホの丘」とも言われている美しい風景が広がります。
オーヴェールの丘から、遠く斜里岳を望みながら延びる気持ちの良い一直線の道は、まさしく北海道の雄大さを物語ります。 壮大なスケールの美しい丘の絶景に圧倒されます。
感動の径から網走を通り、網走湖の夕焼けを眺め、夕暮れに再度辿り着いたメルヘンの丘は、昼とは全く異なる表情を見せていました。