花の湿原”霧多布湿原”に佇むペンション「ポーチ」
北海道最大の街釧路と、最東端の街根室のほぼ中間に位置する浜中町にある、道内屈指の花の湿原とも呼ばれる霧多布湿原。駆け回る鹿の群れ、強風と荒波が作り上げだ断崖絶壁の突端にある湯沸岬灯台を巡り、辿り着いたのはペンション「ポーチ」です。湿原と太平洋に面しており、目の前の海から朝日が昇り、夕日が背後にある湿原に沈むというなんとも贅沢でダイナミックな自然に恵まれた場所にあります。オーナーである瓜田勝也さんは、1986年から30年以上に渡り、霧多布湿原の保全と魅力発信に尽力し続けている方で、元々は昆布漁家に生まれ育った漁師でした。料理人になることを夢み、東京へ憧れる若者だった瓜田さんの人生が大きく変わったのは、東京から霧多布へ移住し喫茶店をオープンした伊東俊和さんとの出会いです。
漁師から霧多布湿原の守り人へ!
生まれた時からそこにあるもの。当たり前すぎて見えなくなっていた故郷霧多布の魅力を、伊藤さんとの出会いによって再発見しました。
「気づいていますか?せっかくの宝物。湿原は宝物だよ。」伊藤さんの一言は、瓜田さんの人生を変えました。
霧多布湿原ファンクラブを発足し、かわら版の情報誌を発行するなど活動を始め、瓜田さんは漁師を辞め、霧多布の自然とその魅力を紹介する為に、妻民子さんと共にペンションポーチを開業することを決めました。ペンション「ポーチ」は、瓜田さんご夫妻の高いホスピタリティを隅々にまで感じる宿です。居住空間の美しさと抜群の居心地の良さ。更にこの宿で過ごす時間の幸福度を上げる、奥様民子さんの地場産品を中心に素材の良さを生かし切った料理。毎晩夕食後にスライドの上映会を行われ、霧多布の自然の魅力が紹介されます。移住者の新鮮な視点から気づかせてもらった故郷霧多布の魅力。その霧多布の自然の魅力を伝えたい、守りたい。30年間何かある度にその原点に立ち返り、その熱い想いが継続の源だったといいます。口で言うほど簡単なことではない。でも、瓜田さんの霧多布愛に満ちた若々しい笑顔を見ていると、こちらも自分の機軸となるもの、何かあったときに立ち返る原点を明確にして暮らしていかねばと襟を正す思いがしました。
海外に目を向けられた霧多布湿原の未来
瓜田さんの活動は進行形です。海外にも目を向け、ヨーロッパやアメリカなどの旅行会社社員や写真家、旅行ライターの一行に霧多布を紹介し、海外プロモーションにも力を注ぎ始めています。次は、ケンボッキ島に瓜田さんの船で行く夏のエコツアーに連れて行ってもらおうと心に決め、真冬の2月、宿を経ちました。