2018年11月、「KOUGEI EXPO IN FUKUOKA」が福岡で開催されました。BEAMS JAPANと博多織のコラボなど、現代クリエーター、大学生と伝統工芸の融合など魅力あるイベントでした。BEAMSとのコラボなど、 KOUGEI EXPOで伝統工芸の新たな可能性が示されました!
目次
「KOUGEI EXPO」福岡で30年ぶりの開催!
伝統的工芸品への理解と普及を図ることを目的とした「KOUGEI EXPO IN FUKUOKA」(第35回伝統的工芸品月間国民会議全国大会福岡大会)が、2018年11月2~4日に福岡県で開催されました。
福岡では、30年ぶりの「KOUGEI EXPO」の開催となります。
福岡ソフトバンクスホークスの優勝で湧く博多の勢いそのままに、全国からのビジターで福岡市博多区のマリンメッセ福岡は盛り上がりを見せました。
2018年は、「博多織伝来777年」、「久留米絣考案者(井上伝)没後150年」という福岡における伝統工芸において節目の年となります。
福岡県には博多織、博多人形、久留米絣(くるめかすり)、小石原(こいらわら)焼、八女福島仏壇、上野(あがの)焼、八女提灯という7つの国指定伝統的工芸品をはじめ、多彩な伝統工芸品が数多く存在します。
「KOUGEI EXPO IN FUKUOKA」から、国内外に日本の伝統工芸の文化や伝統工芸品の魅力が発信されました。
「KOUGEI EXPO」福岡の伝統工芸・博多織もBEAMSとコラボレーション!
「KOUGEI EXPO」の会場に入ると、まず福岡の地元企業10社のロゴや商品がデザインされた各社オリジナルの博多人形「お福さん」の伝統工芸品が参加者を出迎えます。
その中には福岡ソフトバンクホークスとコラボレーションした「ハカタオフク」も!
デザインを担当したのは、九州産業大学芸術学部生活環境デザイン学科のゼミナール生とのことです。
現代デザインと伝統工芸のコラボレーションのお出迎えに、「KOUGEI EXPO IN FUKUOKA」のコンセプトが表現されていたと思います。
KOUGEI EXPOの会場の中央には、博多人形師の川崎修一さんが制作された博多祇園山笠の豪華絢爛な飾り山笠(高さ約13メートル)が鎮座し、多くの伝統工芸ファンの注目を集めていました。
さすがに迫力があり、その存在感に圧倒されました!
受け継がれてきた伝統を守りながら、新たな風を吹き込み、福岡から国内外へ日本の伝統工芸文化や伝統工芸品の魅力を発信しています。
「KOUGEI EXPO」では、福岡県一丸の積極的な姿勢に触れ、多くの刺激を受けました。
時代の変化に対応するためにも、地元の伝統工芸において、B to C(対消費者)だけでなく、B to B(企業間)取引への拡大が重要と考えています。
「KOUGEI EXPO 」福岡は、伝統工芸と異文化の交流による共同企画を基盤とし、そこから生まれる“新たな形”を創出していく方向を打ち出しています。
伝統工芸にクリエーターや若者の視点や感覚を取り入れることにも意義があるという方向は、福岡の伝統工芸の技術に対する絶対的な自信を感じます。
「KOUGEI EXPO IN FKUOKA」では、具体的な取り組みがされていました。
その一つが、「クリエーターと福岡の伝統的工芸品が奏でるコラボレーション」をテーマに、国内外の著名クリエーター監修による伝統工芸品とのコラボレーションです。
「博多織×BEAMS JAPAN」では、吉田カバン&BEAMSのB印YOSHIDAレーベルから、博多織の生地を使ったショルダーバックやウォレットを作成しています。
斬新なデザインと、博多織の美しさに、目を奪われます。
「博多人形×ニコライ・バーグマン」では、“ニコライカラー”と呼ばれる鮮やかな色づかいの生花で博多人形を斬新に彩ります。
「小石原×WOK22」では、オリジナルの小石原焼の皿、グラフィックアーティスト・ペインターのWOK22さんが直接イラスト描写した陶器が展示されていました。
福岡が誇る読者モデルであり、稀代のインスタグラマー西本早希さんオリジナルデザインによる上野焼ハイボールグラスの展示・販売、日本を代表する墨絵アーティスト西元祐貴さんと八女提灯のコラボレーションなどもありました。
「KOUGEI EXPO」の会場では、久留米絣のシャツやスマートフォンケースが製作され、八女福島仏壇の精密な技術はアクセサリーに生かされるなど、合計7つの魅惑のコラボレーションは、まさに伝統工芸の新たな改革です。
「KOUGEI EXPO」の会場で、一際目をひく茶室がありました。日本一の家具産地とも言われる大川の技術で製作した組み立て式茶室「MUJYOAN」です。
2017年には、アメリカのロサンゼルスで開催されたグラミー賞公式ギフトラウンジで披露され、その伝統工芸の技術の高さに多くの感嘆の声があがったそうです。
「KOUGEI EXPO」福岡の地元大学生と作家のコラボレーション!
「KOUGEI EXPO」福岡会場で、もう一つ新鮮な挑戦が、福岡県内大学と伝統工芸のコラボレーションによる新商品の開発です。
参加したのは九州産業大、福岡大、久留米工業大、近畿大、久留米大の5大学です。約1年前から話し合いや勉強会を実施して産地の魅力発信に関して取り組んできたそうです。
若い世代の方にも伝統工芸品をもっと身近に感じてもらいたいという想いから、学生の自由な発想と職人の高い技術により制作された、魅力ある作品の数々に感心します。
小石原焼の新たな日常使いの提案、取っ手がついた上野焼の酒器、久留米大学の学生がデザイン制作に関わった八女提灯もありました。
九州産業大学の廣瀬孔明さんは、伝統工芸の博多織のPRポスターの作成をしました。
「もともと博多織は、普段使いされたもの。より多くの人に、その美しさを伝えたい。」と、艶やかな花の色をバックに、対照的な博多織の品の良い色合いを引き立たせた写真撮影を行う等、博多織のプロモーション活動にも取り組んでいました。
若い世代の想像力を福岡の伝統工芸にいかす!
「KOUGEI EXPO」福岡のテーマが、しっかりと表現されていました。
「KOUGEI EXPO」福岡の伝統工芸の実現と魅惑のステージ!
「KOUGEI EXPO」の福岡会場では、職人の手ほどきによる製作体験や巧みな手わざを身近に見ることのできる製作実演のある伝統工芸ふれあい広場がありました。
伝統的工芸品を使ったカフェ、IKKOさんや中尾彬さんら著名人による伝統工芸に関するトピックのトークセッションのステージなど、盛りだくさんの内容です。
「KOUGEI EXPO」のステージでは、注目するイベントの一つに、第10回第11回書道パフォーマンス甲子園 優勝(2017、2018)の実力を持つ福岡県立八幡中央高等学校 書道部によるパフォーマンスもありました。
様々な年代が、伝統工芸を一緒に楽しめる催しになりました。
「KOUGEI EXPO」福岡の伝統工芸の災害からの復興!
昨年7月の九州北部の豪雨で被災した福岡県東峰村では、村の伝統工芸品「小石原焼」の窯が各地で土砂によって倒壊しました。
「KOUGEI EXPO」の会場では、東峰村の復興の様子とともに、さらなる飛躍に向けて様々な「小石原焼」が陳列され、“元気な姿”を発信していました。
東京一極集中を是正し、地方を活性化させる地方創生は、経済再生の重要な柱だといわれています。
地方創生や地方活性の具体的な形として、被災地では復興からの再生、若年層の地元の魅力再発見、インバウンドへの対応と海外ビジネスの創出等があります。
「KOUGEI EXPO 」福岡では、それらのすべての要素が巧みに取り込まれ、自治体と企業及び伝統工芸の各職人の密接した協力関係が築かれていました。
伝統工芸とクリエイター、若者が起こす化学反応は、ものづくりからはじまる地方創生として、新たな地方の可能性を提示しました。
2019年は岩手開催!KOUGEI EXPO IN IWATE
2019年(令和元年)11月、KOUGEI EXPO IN IWATE (第36回伝統的工芸品月間国民会議全国大会)を岩手県で開催します。
岩手県の伝統的工芸品、南部鉄器・岩谷堂箪笥・浄法寺塗・秀衡塗をはじめとして、全国の伝統的工芸品が大集合!職人による製作実演のほか、 製作体験や展示販売を行います。
KOUGEI EXPO IN IWATEの開催日程について
会期:令和元年11月3日(日曜日)から5日(火曜日)まで
会場: 岩手産業文化センター(アピオ)
住所:〒020-0605 岩手県滝沢市砂込389-20
新幹線でお越しの場合
経 路 東京駅⇒盛岡駅 約2時間15分
仙台駅⇒盛岡駅 約40分
お車でお越しの場合
経 路 盛岡駅⇒岩手産業文化センター 約30分