東北海道開拓の玄関口「厚岸」の魅力
”歴史”と”挑戦”。 厚岸に立ち寄ると、感じられるワードです。厚岸町は、東北海道で最も早く開かれ、松前藩によるアッケシ場所の開設は寛永年間(1624年~1643年)とされ、東北海道開拓の玄関口でした。その長い歴史を背景として、いまや北海道のみならず全国のグルメをうならす牡蠣をはじめとした海の幸、酪農業の発展も早く、乳製品のレベルも非常に高いです。厚岸駅開業(1917年)と同時に営業を開始されたという氏家待合所の風味豊かな牡蠣めし、森高牧場の新鮮でありながらコクのあるアイスクリーム、そして北海道で最も美味しいと言われる道の駅(コンキリエ)の存在等、歴史的な背景から発展した魅力は絶えません。旅人は、雄大な自然や道内初の会場大橋の赤色の記憶とともに、豊かな食の恵みに舌の記憶を残します。
ウイスキーづくりに最適な厚岸の地
厚岸には、新たな夢のつぼみがあります。スコットランドに似た雄大な風景が重なる厚岸にて、2016年11月よりウイスキーの蒸留が始まりました。ウイスキーづくりには冷涼で湿潤な気候、そして一定の寒暖差が不可欠。その点で厚岸は広大な湿地に囲まれ、夏の気温は25度前後、冬はマイナス20度近くまで冷え込む理想的な環境です。またウイスキーに用いられる仕込み水はピート層を通った軟水であり、潮を含んだ海霧がただよう様は、シングルモルトの聖地と呼ばれるスコットランド・アイラ島に良く似た土地と言えるのです。周辺から香り付けに欠かせないピート(泥炭)も取れ、厚岸町内での大麦の生産も始まっています。町内の森林での樹齢200年を優に超えるミズナラの試験的伐採も、着実に進んでいます。厚岸産大麦、厚岸産ピートとピート層を通った水源、厚岸産ミズナラ樽、厚岸湾の海霧に包まれる熟成庫、それらすべてを使用した厚岸産モルトウイスキーを、蒸溜所では、“AKKESHI ALL STAR(S)”と呼んでいます。
4人のクラフトマンがつくる情熱の厚岸ウイスキー
2016年の秋に本格蒸留を始め、いよいよ厚岸ウイスキーが、第1弾として2月27日に初出荷されました。今回リリースされたのは、麦芽を作る際にピートを使用していないノンピートの原酒をバーボン樽で、5カ月~14カ月熟成させたものです。厚岸蒸留所には、異なるバックグランドを持ち、並々ならぬ情熱をウィスキーに傾ける4人のクラフトマンがいます。蒸留所の設立から初の蒸留、発酵、熟成とクラフトマンたちの努力が形になった渾身のデビュー作です。早々と発売前に販売予定数を上回る注文が殺到し入手は難しく、2018年8月、2019年2月、2019年8月とこれからの発売が待たれます。年月を重ねるごとに味が変わるウィスキー。独特のスモーキーな香りがするアイラモルトいやアッケシモルトと牡蠣やチーズのマリアージュを堪能できる日も近いでしょう。
厚岸蒸留所ホームページ:http://akkeshi-distillery.com/