
カーリングの聖地 北見市「常呂町カーリングホール」
平昌五輪から早3か月。「そだねー!」「もぐもぐタイム」など新しいキーワードを生み、人々を魅了し、一躍注目を集めたカーリング女子日本代表“LS(ロコ・ソラーレ)北見”の活躍は、記憶に新しいところです。日本のカーリング競技にとって初の銅メダルを獲得した彼女たちが口々に発していたのは、故郷でもあり、現在の活動拠点でもある北海道北見市への地元愛に溢れた言葉です。北見市常呂町は、カナダの国民的スポーツであるカーリングが紹介されてから、極寒の中徹夜でリンクを手作り、金属製のビア樽やガスボンベを加工・溶接した代用品で競技をしていた時代を経て、1988年1月に日本国内初となるカーリング専用ホール「常呂町カーリングホール」を建設した、まさにカーリングの聖地です。
オリンピックメダルの必勝祈願をした「常呂神社」
5月18日~20日まで行われた『カーリング パシフィックアジア選手権2018日本代表決定戦』では、女子はLS北見が、世界選手権代表のチーム富士急と対戦しました。2022年冬季北京オリンピックにも繋がる重要な大会で、本場で観戦を初体験すべく、常呂町へ行ってきました。まず訪れたのはLS北見の選手たちが必勝祈願に訪れた常呂神社。「カーリングストーンストラップ付きおみくじ」や、カーリングの形をした絵馬が販売され、カーリング場の形をしたボードに願い事が記された絵馬がぶら下がっている様がカーリングの聖地にある神社らしく、まさにここでしか見られない風景です。
白熱のLS北見のカーリングを観戦
そして「アドヴィックス常呂カーリングホール」」へ。2013年11月建設された「アドヴィックス常呂カーリングホール」は、現在LS北見の活動拠点になっています。一歩足を踏み入れるとまだ建物の新しい匂いが漂い、どこを見ても清潔に保たれています。リンクと客席は想像していたより近く、選手たちの表情や声もよく聞こえ、スウィープでストーンの方向や速度を調整していく様は、TVで見る時には感じられない音と熱気で迫力を感じます。カーリングは本来、審判員が存在しないセルフジャッジ競技であり、スポーツマンシップが重要視されますが、良いプレーに対する観客の反応は、両チームに対してとてもフェアなもので、気持ちの良いものでした。カーリングの聖地の客席には、地元の方がプロのような解説をしており、カーリング観戦初心者の私はそのコメントを聞きながら、より楽しむことが出来ました。LS北見の選手が、温かい応援を支えに真摯にプレーする姿と、試合後観客に心からの手を振る姿は、地元の方だけではなく、「地方」で暮らす多くの人々に誇りと勇気を与えるでしょう。
五輪後、常呂町で行われた凱旋報告会で語った吉田知那美さんの「この町、何もないよね。小さい頃はここにいたら夢は叶わないんじゃないかと思っていました。でも今は、この町じゃなきゃ夢は叶わなかったと思います」という言葉が心に浮かび、とても温かく、清々しい気持ちで北見市常呂町を後にしました。