隈研吾氏が込めた想い「南三陸さんさん商店街」
絶望に打ちひしがれたあの震災からわずか1か月で、福興都市として、前を向き、商いをはじめた南三陸町。
どんな困難にもめげずに歩み続け、2016年で終了した「さんさん商店街」が、かつての町の中心地に震災後8.3mほどかさ上げされた高台の造成地に、2017年3月「南三陸さんさん商店街」としてグランドオープンしました。
志津川地区の復興シンボルとも言われる「南三陸さんさん商店街」。南三陸町民の不屈の魂の象徴です。
仙台から高速道路(三陸道)にて約1時間30分、"志津川IC"で降車して5分で到着です。
南三陸さんさん商店街は、開業から1年で、来場者は65万人を超えたそうです。設計は、世界的建築家で新国立競技場のデザインを手掛けた建築家、隈研吾氏。隈研吾氏が目指したのは、「あたたかく、やさしい商店街」を創ること。
南三陸さんさん商店街 には、美人杉といわれる南三陸杉が目に付く所にふんだんに使われていて、木のぬくもりが肌で感じられます。
南三陸さんさん商店街の「さんさんコート」と名付けられた商店街の中心には、フードコートがあり明るい日差しの下、まるで縁側の様な雰囲気の中くつろげる空間となっていました。
南三陸さんさん商店街 では、イースター島(チリ領土)より2013年に贈呈された本物のモアイ像が展示中です。
南三陸さんさん商店街の海鮮丼 「キラキラ丼」とは?
「南三陸さんさん商店街」では飲食店をはじめ、食料品や衣料品、電化製品などの生活用品を扱うお店や写真スタジオなど、28店舗が軒を並べています。
「新鮮里海の幸」ゾーンでは、とれたての地元産魚介類や水産加工品が所狭しと並べられ、地場の野菜やお肉なども提供されていました。
そんな魚介を見ていると、やはり春夏秋冬で異なる魚介を楽しめる「キラキラ丼」が食べたくなります。春は春野菜と春の海で獲れる海鮮を盛り込んだ「春つげ丼」、夏は新鮮なうにを贅沢に使った「うに丼」、秋は脂の乗った旬な魚が豪華共演する「秋旨丼」、冬はぷりぷりのいくらが丼いっぱいに盛られた「いくら丼」と、四季に応じて具材が変化するという「キラキラ丼」。
今の季節、 南三陸さんさん商店では、街 魅力的で個性的な「春つげ丼」を各店提供しており悩みに悩みましたが、選んだのはミシュランガイドにも掲載されている「弁慶鮨」のキラキラ春つげ丼。
南三陸さんさん商店街 の弁慶鮨の海鮮丼は、色々な刺身とイクラ、卵、胡瓜が混ざったバラチラシの上に、新鮮なネギトロと旬のメカブが乗り、華やかな彩りとなっています。豪快に混ぜて食べると、様々な食感とともに旨味や香りが口いっぱいに広がり、春の訪れが一気にやってきた気分に。
温泉卵も混ぜ、絶妙な風味を楽しむことができました。
次回は、 南三陸さんさん商店街 のどこのお店の海鮮丼んを食べようかと思うと、考えただけで心が踊ります。
南三陸さんさん商店街 の写真展「南三陸の記憶」
南三陸さんさん商店街の一角では、南三陸町の様々な活動が紹介されています。南三陸町観光協会で発行されているフリーペーパー「南三陸」には、南三陸町の食・観光・生活などの魅力が紙面いっぱいに掲載されています。
また、南三陸町の移住センターが発行している「南三陸移住生活」では、「やりたいこと」を応援してくれる町をキャッチフレーズに、移住支援の各制度、体験談、移住へのステップ等がわかりやくまとめられています。
冊子やインターネットのホームページを見ても、南三陸町のプロフェッショナルな街づくりに感心し、全国の多くの地方都市の見本となるべく活動であると確信しました。
最後に立ち寄ったのが、南三陸の記憶「写真館さりょうスタジオ」でした。
自らも被災者である写真家の佐藤信一氏が、震災後に撮り続けた街の姿をメッセージと共に展示しています。
震災前の多彩な色でいっぱいだった南三陸町の自然や生活が見事に写し出されていて、その色や笑顔が震災によって一瞬で奪われていったその壮絶な過程が記録されています。
南三陸さんさん商店街に訪れて、この写真展を見た人々は、それぞれの人生やふるさとに置き換えて、何かを確実に感じ、心に刻むでしょう。
震災から7年。少しずつ取り戻していく色。色づけの主役となる子供たちや復興の過程を佐藤さんは撮り続けています。
購入した佐藤さんの魂あふれる写真集(一冊の売り上げにつき300円が南三陸に寄付)は、きっとこれからの様々な私自身の起点において、正しい原点に戻し、苦しい状況になっても背中を押し続けてくれることでしょう。
これからも佐藤さんが撮り続ける写真を通して、未来に向けて心の色が戻ってくる過程を見ていきたいと強く感じました。
商店街から復興作業中の現場をしばらく眺めている地元の男性がいました。様々な想いを胸に秘め、日々を生きているのかもしれません。
駐車場から車を出そうとしとき、 南三陸さんさん商店街の案内版を見上げると、背後に満開の桜が咲いていました。
今にも南三陸町が、桜の羽をつけ、明るい未来に羽ばたきそうな姿に見えました。
高台にある満開の桜に囲まれた志津川高校を見ながら、様々なモノを受け取った南三陸町を後にしました。