富良野の「風のガーデン」!緒形拳さん遺作ドラマのロケ地!

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富良野の「風のガーデン」は、倉本聰さん脚本、中井貴一さん主演、そして緒形拳さんの遺作ドラマ「風のガーデン」のロケ地です。ロケ地だった「風のガーデン」は、毎年春から秋、富良野でドラマの続編のように美しい季節の花々が咲き、緒形拳さんを思い起こされるのです。

緒形拳さんの遺作「風のガーデン」のロケ地!富良野の自然が舞台に!

富良野の風のガーデンの夏の花々
富良野の風のガーデンの夏の花々

北海道の富良野を訪れるたびに思い出す、倉本聰さんが描かれた珠玉の数々のドラマ「北の国から」、「優しい時間」、そして「風のガーデン」。

いずれも、長い年月を経ても、忘れることができない、心の礎となるドラマです。

その中で、富良野を舞台にした「風のガーデン」は、当時東京にいた私にとって、私の中で「生きる」ということ、「死ぬ」ということ、「家族」、そして「ふるさと」を深く考えるトリガーとなりました。

人の生きる姿を表現し続ける倉本聰さんの脚本、中井貴一さんが、末期がんに侵された、東京の大学病院に勤務する麻酔科医麻酔科医を演じた「風のガーデン」は、私を含め多くの視聴者に強烈な印象を残しました。

風のガーデンでは、富良野で訪問医療を行っている、絶縁状態だった父役の緒方拳さんとの確執からの和解、離れ離れだった子供達との心のふれあい、「人が最期に帰る場所」が描かれました。

また「風のガーデン」は、緒形拳さんの遺作としても広く知られることになりました。

ドラマ「風のガーデン」は、緩和医療、ターミナルケア(終末期医療、終末期看護)、在宅医療、家族再生など今も社会問題となっている重厚なテーマでありながら、ユーモアも散りばめられ、富良野の美しい四季、季節ごとに咲くさまざまな花たちを風が撫でていくブリティッシュガーデンを舞台に、ドラマは展開しました。

富良野の風のガーデンの夏の花々と蝶々
富良野の風のガーデンの夏の花々と蝶々

「風のガーデン」のドラマのロケ地を訪ねると、夏から秋を彩る花に人間の生を映し、目では見えない心の動きが、色とりどりの花の姿と重なります。

富良野のドラマのロケ地は上野砂由紀さんプロデュース「風のガーデン」に!

富良野の風のガーデンの夏
富良野の風のガーデンの夏の花々

ドラマ「風のガーデン」のロケ地に選ばれたのは、北海道富良野市にある風の強い山里でした。

2年もの歳月をかけて、ドラマでも使用された庭園「風のガーデン」が造成されたといいます。

この庭園「風のガーデン」をプロデュースしたのが、旭川市にある上野ファームのヘッドガーデナーであり、北海道のガーデン文化を牽引するガーデンデザイナー・上野砂由紀(さゆき)さんです。

上野さんは、旭川の「上野ファーム」、富良野の「風のガーデン」の他、上川の「大雪 森のガーデン」など多くの庭園を手掛け、イングリッシュガーデンというようりは、より自然との調和を考えられた北海道ガーデンともいうべき独創性のある庭園に発展させ、訪れる多くの人々の心を癒しています。

十勝地方のガーデンと連携し、旭川から十勝にかけて、富良野の風のガーデンも含めた「北海道ガーデン街道」をプロデュースするなど、地域活性の活動にも多大な貢献をされています。

富良野の風のガーデンの夏の花々と緑
富良野の風のガーデンの夏の花々

富良野の「風のガーデン」では、植物の高さや地形を活かし、立体的で繊細に植栽された450種以上、約2万株の花々が植えられています。

「風のガーデン」は、春にはその名の通り雪のしずくのごとく、ひと茎に一つずつうつむくように白い花をつけ春を告げるスノードロップやドラマの最後の場面で一面に咲いていたエゾエンゴサクの淡い青が足元に広がります。

「風のガーデン」は、初夏から夏には、ドラマの中でも印象的に使われていた「ほたるぶくろ」と呼ばれる釣り鐘型をはじめ約10種類のカンパニュラが華やかにガーデンを飾ります。

また、松明の燃える焔のような形の花をつけるモナルダは、紅茶アールグレーの香りづけとしても有名な別名ベルガモットで、近くを通ると爽やかな香りが鼻腔をくすぐります。

富良野の「風のガーデン」は、秋には温かみのある色合いのアスターやヘレニウムの後ろでススキが風に揺れ、より野趣を感じられるなど、訪れるたびに異なる表情を見せてくれます。

 富良野の風のガーデン
富良野の風のガーデン

富良野の「風のガーデン」は、季節ごとに開花する花の配色を踏まえて、変化する庭が楽しめるような工夫が施されています。

富良野の「風のガーデン」に残るロケ地の面影!

  富良野の風のガーデンの門
富良野の風のガーデンの門

富良野の「風のガーデン」のテーマは「自然の中の庭」で,「庭」でありながら、富良野の広々とした空や大地を背景としたロケーションが味わえます。

7月に訪れた「風のガーデン」は、全国、海外から多くの人で賑わい、初夏の紫や青が中心だった花色がカラフルに変わり、背の高い花はより高く、足元の花も自己主張をするように、華やかに咲き乱れていました。

富良野の風のガーデンの花々
富良野の風のガーデンの花々

富良野の「風のガーデン」の敷地は、カラマツ林や小高い山に囲まれ、大自然と見事に一体化され、最大限に自然に寄り添った自然回帰を想起させるような庭作りがされていました。

9月、再度訪れた「風のガーデン」は、観光客も一段落したようで、ゆっくりとした時間を過ごすことができました。ススキが風にたなびき、風の動きが見えます。

  秋の富良野の風のガーデンのススキ
秋の富良野の風のガーデン

富良野の「風のガーデン」の様子は、夏とは変わり、花を散らしたものもあれば、蕾にもなっていなかった花が咲き、花の色は落ち着いた色に変わっていました。

富良野の気温はぐっと下がり、「風のガーデン」は秋の空気に包まれ、植物も、同様に必死で生きている様を感じます。

「風のガーデン」奥にある「薔薇の庭」では、ローズヒップが美しい赤色に染まっていました。

  秋の富良野の風のガーデン
秋の富良野の風のガーデン

風のガーデンの「野の花の散歩道」では、富良野の山野草や園芸種、野の花が絶妙なカオスを作り出し、風を感じながら、いつか歩いたことのあるようなどこか懐かしい気持ちになります。

遠くには、ドラマ「風のガーデン」で使われていたキャンピングカーが見えました。

ドラマ「風のガーデン」で登場したキャンピングカー
ドラマ「風のガーデン」で登場したキャンピングカー

ドラマ「風のガーデン」のロケ地の面影が残るグリーンハウスの室内は、ドラマ撮影時のセットがそのまま保存され、印象的な場面が蘇ります。

 ドラマ「風のガーデン」のグリーンハウス
ドラマ「風のガーデン」のグリーンハウス

富良野舞台のドラマ「風のガーデン」緒形拳さん演じる貞三先生の花言葉

富良野の「風のガーデン」のグリーンハウス
富良野の「風のガーデン」のグリーンハウス

ドラマ「風のガーデン」では、各話ごとに花が数種ずつ登場し、主人公の息子である岳くん(神木隆之介さん)により、緒形拳さん演じる貞三先生が独自に考案したオリジナルの花言葉が語られます。

この花言葉は、倉本聰さんの手により、ドラマには登場しないものも含めて365種類分考案されようです。(「風のガーデン貞三先生の花言葉365篇」として出版されています。)

「男は女を情で縛り、女は男を理屈で縛る(ヤマアジサイ)」「妖精ぶってる秋の妖怪(キバナコスモス)」「亭主の気づかない人妻の色気(クレマチス)」など、深刻なドラマ展開の中にも、つい笑ってしまい、頷いてしまうほっとするような言葉です。

倉本聰さんの脚本には、深刻なテーマの中に、富良野の自然とともに、常に“笑い”が散りばめられています。

富良野の「風のガーデン」、緒形拳さんが演じる貞三先生のメッセージ!

富良野の「風のガーデン」
富良野の「風のガーデン」

ふと、ドラマ「風のガーデン」で、緒方拳さん演じる貞三さんが、愛犬の死に直面し、悲しみ泣き続ける孫の岳くんに、グリーンハウスの暖炉の前で語る場面を思い浮かべます。

“生きてるものは必ず死にます。おじいちゃんもいずれ死ぬ。

君だっていつか死ぬ。死ぬってことはね、生きてるものの必ず通る道です。

君は、犬の死に今泣いてる。

だけど花が命を終え枯れて死ぬ時は、いちいち涙流さないでしょ?流しますか?

動物と植物、違いはあってもどっちも同じ命なんです。

でも、花は死ぬ時、血を流さない。だから人間はそれほど同情しない。

でも、同じ命なんですよ。”

緒形拳さんは、自身が肝がんであることを周囲に悟られず、息子の死を看取る老医師を演じ切り、ドラマ「風のガーデン」放映開始の4日前に亡くなりました。

緒形拳さん演じる貞三先生が、紡ぐように話された一語一語が思い出されます。

ドラマのロケ地は、富良野の庭園「風のガーデン」に!

 富良野の「風のガーデン」の天使ガグリエルの像
富良野の「風のガーデン」の天使ガグリエルの像

「風のガーデン」のシーンが次々と蘇る中、秋の富良野の庭園を歩いていると、中井貴一さん演じる主人公の親戚であり、ガーデナーとして出演されていた森上千絵さんが、ガーデンの手入れをされていて、少しお話することができました。

富良野塾OBの森上千絵さんは、舞台、朗読やドラマ(「やさしい時間」、「Dr.コトー診療所」、「やすらぎの郷」、「やすらぎの刻」など)で活躍されています。

まさに現実なのか、ドラマ「風のガーデン」の中に入ってしまったのか、わからなくなるような夢のような時間でした。

森上さんは、舞台では少女から老婆まで変幻自在に演じ、富良野GROUPを代表する女優であり、富良野でガーデナーとして「風のガーデン」の成長を見守っています。

ドラマ「風のガーデン」は終了しても、大天使ガブリエルが見守る庭園「風のガーデン」は終わることなく成長を続け、出演者、そして視聴者の“想い”に寄り添っています。

風のガーデン奥の「薔薇の庭」は、ドラマ終了後に造園されたもので、まるで物語を受け継いで続編を表現しているような感覚になります。

富良野の「風のガーデン」閉園後、10月に刈り取られたガーデンの花々が、春になると鮮やかに芽吹きます。

”想い”ある多くの人々が、そんな富良野の「風のガーデン」の再開を、まるでドラマの続編のように期待しているのです。

期間:4月27日(土)〜10月14日(月・祝)
時間:8:00A.M.〜5:00P.M.(最終受付4:30P.M.)
◎モーニングガーデン開催 6月15日(土)〜 8月31日(土)
6:30A.M.〜6:00P.M.(最終受付5:30P.M.)
◎秋のガーデン 10月1日(火)〜10月14日(月・祝)
8:00A.M.〜4:00P.M.(最終受付3:30P.M.)
料金: 1名さま おとな¥800 小学生(7〜12才)¥500 幼児無料 〈送迎代込み〉
場所: 新富良野プリンスホテル(風のガーデン受付)より送迎車にて約4分
※営業期間・時間は変更の可能性がありますので、新富良野プリンスホテルHP参照願います。

富良野の「風のガーデン」!緒形拳さん遺作ドラマのロケ地!

秋の富良野の「風のガーデン」のグリーンハウス
秋の富良野の「風のガーデン」のグリーンハウス

富良野の「風のガーデン」には、今では全国、海外からも多くの観光客が訪れて、富良野の自然と咲き誇る花々を楽しんでいます。

緒形拳さん遺作のドラマロケ地でありながら、庭園として新たな生命を吹き込まれた富良野の山の裾野の土地は、庭園「風のガーデン」としてドラマファンのみならず、ガーデンファンからも注目を浴びています。

富良野を訪ねる度に訪れたい、大切なスポットになりました。

※ 当記事はTheNewsへ提供した記事を著者が再編集し書き下ろしたものです。

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